第50号「タクシー業界は快晴?」(2013年3月15日配信)

 先日、重量が45キログラム位の業務用シュレッダーを運ぶことになりました。現在事務所で使用中のシュレッダーは家庭用に毛の生えた程度のもので、一度に裁断できる枚数が4~5枚と少なく時間がかかって効率が良くありませんでした。所属団体が書類の廃棄を裁断から溶解処理に切り替えたためシュレッダーが不要になりました。そこで私が貰うことにしたのです。

 2年以上前の「おもしろ会計 第14話 我が家はなぜか皆長寿」で触れましたが、私はクルマなし生活を十数年続けております。重いものを運ぶときでも自転車かショッピングカートで大体間に合います。ごく稀に不便と感じることもありますが、通常はクルマなしで十分やっていけるのです。
ところが今回の業務用シュレッダーは、自転車では勿論運べません。ショッピングカートのバッグ部分を外してパイプだけにして載せることも考えましたがやめました。ガタガタ2キロメートルも運んだら壊れるかも知れないからです。

 いろいろ考えた結果、タクシーのトランクに乗っけて運べばいいということに気が付きました。ただ、トランクに乗せるとき一人では無理だから二人必要だ、さらに最近のタクシーの運転手は女性や年配者も結構多いので手伝いを期待できないなどと深く熟慮もしました。
 息子が家にいる日を受取日として約束し、息子に手伝ってもらうことにしました。そして息子と二人で所属団体へ行き、運搬中に壊れたりしないように緩衝材でできた包装シートで巻きました。巻き終えてからタクシーを呼ぼうとして驚きました。「ウチは西口だよ。東口の会社に頼んだら?」とか「(ウチの車で)近くを走っているのがない」とか「そこまで30分以上かかっちゃう」等々、あまりシッカリした理由とも思えない理由で断られてしまうのです。

 これまで私は、タクシーに乗る場合は駅から乗るケースがほとんどでしたが、長時間待った記憶がありません。駅ではいつも数台以上のタクシーが客待ちをしており、仮にタクシーが待機していなくても数分も待てばすぐに空車がやってくるのが普通でした。そういった感覚で、タクシーなんて簡単につかまると思っていたら大違いだったという訳です。

 タクシー会社同士が駅の西口と東口で縄張りを決めて、お互いの領域を侵食しないようにしているのでしょうか。それともそんなにあくせくしなくても十分に経営が成り立つということでしょうか。私のそれまでの認識では、タクシー業界を取り巻く経営環境は厳しく、客を選り好みなどしている余裕はないはずでしたので、この対応は意外でした。
 ようやく5回目の電話で迎えに来てもらえることとなり、重たいシュレッダーを無事運ぶことが出来ました。その運転手さんは話し好きと見え、女の酔客の面白い話をしてくれたので、タクシー業界の現況とか縄張りとか協定の有無等について尋ねるヒマがなかったのは残念でした。


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