第49号「早く芽を出せ柿の枝」(2013年3月9日配信)

今回は、現時点でほぼ確定してしまった失敗談です。
この冬、柿の木を剪定しました。枝が非常に密に茂ってしまい、実をもぐ時にとても不便になっていたのです。脚立に乗ってもぐのですが、枝が繁茂して体を入れる隙間がなく、無理に枝の間に体をねじ込まざるを得ず往生しておりました。変な姿勢をとっているうちグラッと来て脚立から落ちそうになったことがあります。

毎年のことですが、埼玉では冬の間にすでに来年の新芽が伸びてきます。それが一直線に天に向かって一斉に伸びるので見た目が良くありません。木の枝と云うものは、やはり四方八方にバランスよく伸びていないと美しく感じません。いわゆる枝振りの良い柿の木であってほしいという気持がありました。ですから柿の木の幾分太い枝の上に細い棒が何十本も垂直に突っ立っている姿が実は気に入りませんでした。

そんな気持でいたある時、枝が結構大胆に切られている柿の木を近所で見たので、「よし俺もあのくらい大胆に切ってやろう。今のうちなら新芽もそんなに伸びていないし、剪定してもまた新しい目が出てくるだろう。」と思い、ついに昨年12月に決行にいたりました。

小さい新芽を1本ずつ切るのは面倒なので、まとめて一気に少し太い枝を切って、かなりすっきりしました。息子も家内も「切りすぎじゃないの」と云ったのですが全然気になりませんでした。「なぁーに。新芽なんてすぐ又生えてくるさ」と云う気持でした。

ところが実は今年2月ころから不安になってきました。というのも「結構大胆に切られている」ように見えた近所の柿の木を、後日よく見たら沢山の新芽が数センチくらいちゃんと残して切られていたのです。何も知らない私は新芽を根元から、場合によっては新芽の生えている枝から大胆に切り落としておりました。

そしてさらに月日が経ち3月になりました。初旬は寒かったのですがこのところ暖かくなり春の雰囲気を感じます。が、我が家の柿の木は丸坊主のままなのです。新芽が全く出てこないのです。今年は、美味しいカキの実が食べられないのは覚悟するとして、枝もなく葉っぱもなく光合成が出来ない1年を過ごせば、柿の木に栄養分が蓄えられずに枯れてしまうのではないかと心配です。それとも単に1年だけ活動をお休みする感じで、今年の冬になったら例年どおり新芽が出るのでしょうか。

サルかに合戦のカニさんは「早く芽を出せカキの種、出さぬとハサミでちょん切るぞ」と歌ったようですが、私は柿の木に対して申し訳ない気持でいっぱいです。勿論、木をちょん切るつもりなどありません。何とか回復させたいのです。このままでよいのか、あるいは何か手を打たないといけないのか、どなたか園芸に詳しい方、教えていただけませんか。お待ちしております。


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