企業の栄養剤

企業の栄養剤とは

 企業の栄養剤は、優秀な会計士があるときは気軽に、またある時はウンウン唸りながら書いたエッセイです。必ずしも企業のお金儲けに役立つものではありません。むしろ人々のストレス解消になって、次の仕事への糧となれば嬉しい、というものです。

第94号「振り込め詐欺の被害者は誰だ」

 振り込め詐欺だの、アポ電詐欺だの一体いつまで続くのか、いい加減嫌になる。TVでは詐欺の手口や注意事項が放映されている。にもかかわらず騙される人間が後を絶たない。被害にあう人はTVを観ていないのか、TVは観ていてもニュースや注意喚起の番組は観ていないのか、学習能力がないのか、他人の言うことを聞こうとしない人間なのか分からないがどうにも理解できない。不思議で仕方がない。一体どういう人間なのだろう。
 犯人グループの騙しの手口は巧妙らしいが、それにしてもなぜ孫や息子や娘に確認しようとしないのだろう。孫が会社の小切手を紛失しただの、女を孕ませただの、他人をケガさせて示談金が必要だのと言ってきたときに「警察に届けたの?」「相手はどんな人なの?」「自首しなさい」等となぜ言えないのだろう。カネで解決することしか頭に浮かばないようで実に不愉快だ。
 騙された年寄り達は子育て時期に我が子にどんな躾をしてきたのだろう。その子は孫にどんな躾をしてきたのだろう。ろくな躾・教育をしてこなかったのではないか。だから孫が事故や犯罪を起こしたとの騙しの電話を容易に信じてしまうのだろう。信頼関係が強ければ「そんなバカな」「信じられない」「今の電話は本当に私の孫?」「両親(=息子、娘)に連絡しなきゃ」「振り込め詐欺かも」という方向へ進むはずである。詐欺にあった人間は自分の落ち度など考えもしないのだろうが、端から見ると過失どころか重過失があると思えてならない。
 振り込め詐欺が一向に収束しないので、詐欺担当部署には相当の捜査員を配置し続けなければならない。当然コストがかかる。原資は我々の税金だ。年寄りは掛け金の何倍もの年金を支給され、ため込んだカネを重過失でだまし取られている。その捜査のために多数の捜査員が必要となり税金が投入される。騙された年寄りは善人かも知れないが、二重三重に国の財政に負担をかけているという事だ。自分を何の落ち度もない同情されるべき被害者などと思わないでほしい。被害者は国家財政であり納税者だ。年寄りにはこの点をよくよく自覚し、十分に注意してもらいたい。
国も地方公共団体も財政は大赤字だ。借金は一千兆円を軽く突破している。いずれ、公共サービスの絞り込みおよび有料化へと進むだろう。振り込め詐欺の捜査費用は騙された人間が負担するということになるかも知れない。
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