第77回「にゅー矛盾」(2012年3月16日)

大学入試の後期日程も大方終わって後は発表を待つばかり。大学受験もそろそろ終了ですからこんな話も大丈夫かと思います。

私はいろいろ作るのが好きで、ホームセンターにはよく行きます。そこで「家具スベール」(以下、「スベール」と云います)という便利なものを知り、キッチンの椅子の脚の底に張り付けて重宝しています。とにかくよく滑り、椅子を動かすのが楽なのです。椅子の脚に貼りつけたのは板紙のような「スベール」で、小さく切って使用するタイプですが、小さな円盤型のもあり、これを家具の下に挟めば移動が極端に容易になります。

先日、ふたたび板紙タイプの「スベール」を買うことにしました。小さく切って2台ある座椅子の底に貼ろうというわけです。この座椅子と云うのが本来は回転式大型座椅子だったのですが、回転部分が壊れてしまったのでその部分を取り外し、上半分だけ使用しているのです(詳しくは第31話「見栄と粉飾」をご覧ください)が、それでもかなり重くて、家内は腰を痛めると言って邪魔者扱いしている代物です。

始めはこの座椅子の底面全体に「スベール」を貼りつけようと考えましたが、それだと1台あたり20㎝×25㎝位の「スベール」が4枚必要になります。1台に4枚だと2台なら8枚となり、1枚1650円なので、たかが座椅子の移動を容易にするだけのために大変な出費となります。

いい方法がないかいろいろ考えました。そしてとうとう底面全体に貼りつける必要はないということに気が付きました。座椅子の底面は真っ平らではなく凹凸があり、畳に接する部分とそうでない部分があります。接する部分にだけ貼れば1台1枚程度で済むのです。

とりあえずホームセンターで1枚購入して来ました。1枚を4等分して畳に接する部分4か所に貼りましたが効果はいま一つ、といった感じでした。そのとき愚息が「座椅子を後ろに傾けて動かすようにすれば角の部分にだけ貼ればいいじゃん」と言ってくれたのです。そうです。何も座椅子をべたっと置いたまま滑らすことはなかったのです。

座椅子を後ろに傾けたときに畳に接する角の直線部分のみに「スベール」を貼り、動かしてみたら実にスムースに動きました。「スベール」が余ったのでもう1台にも同じように貼りつけ、それでも余りが出ました。

ところが、これで終わらないのが我が家の素晴らしいところです。重くて動かすのが嫌だった座椅子がスルスル動くので嬉しくなって何度も畳の上を滑らせているうち、「逆に滑り止めのテープもあるんだよな」という話になりました。「そうそう、階段の滑り止めに貼るやつでしょ」「確か、スベラーズって言うんだよ」などと話しがはずみ、またまた愚息が「スベラーズ」の上を「スベール」でこすったらどうなるのかなぁ、とビックリするようなセリフを吐きました。

小学生時代から冗談がまったくウけず、外しまくってきたお堅い愚息が少し柔らかくなってきたのかと嬉しくなりました。「矛盾」という熟語の語源となった矛と盾の話は有名ですが、これに代わる新しい言葉「????」がイマここに誕生しそうです。ご期待ください。なお、実際に「スベール」が「スベラーズ」のうえを滑るかどうかは各自お試しください。


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