第40号「今年こそ期待、です」(2013年1月4日配信)

明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いいたします。
宝くじは胴元が昔より当選確立を大幅に下げたようで、余りにもあくどい商売ぶりが我慢できず購入しておりません。いい初夢を見ようと念じつつトコに就きましたが全然ダメでした。見たのかもしれませんが全く覚えておりません。

ところで一番気になるのが景気ですが今年はどうなるのでしょうか。私は期待しています。リーマンショック後、景気も株価もアメリカはかなり回復し、ヨーロッパもそこそこに回復しているのに日本だけが停滞しています。その原因が高齢化と人口減による消費の減退であるかのように云う人がいます。が、それはとんでもない説明です。金額表示では確かに日本の国内総生産は停滞していますが実物ベースではほぼリーマンショック直前の水準まで回復しているのです。

少し堅い話になりますが、内閣府のGDP統計資料から、2008年の第1~第4四半期(=リーマンショックの影響前⇒以下、影響前と記載)と、2011年の第4~2012年の第3四半期(=直近1年間⇒以下、直近と記載)の実質と名目のGDPを拾いました。その結果は以下のとおりです。
実質GDP: 影響前=518兆円、直近=519兆円
   名目GDP: 影響前=501兆円、直近=475兆円

名目GDPというのは普通に日本円で表示した生産額(≒売上高)です。実質GDPと云うのは物価変動の影響を除去した値ですが、実質で比べればリーマンショック前まで経済は回復しているということです。分かりにくければ、金額ではなく鉄鋼なら何トン、クルマなら何台というように数量で比較すればリーマンショック前の水準まで回復しているということだとお考え下さい。

このように実物ベースでは回復しているのに金額ベースではいまだにリーマンショック前の水準より26兆円も落ち込んでいる理由はただ一つ、物価が下落しているからです。円高では輸出を伸ばすのは大変です。頑張って輸出しても円高ですから企業の手取りは以前よりも少なくなります。円高に対して何もしなかった当局の責任は大きいと思います。

前政権の失政に隠れて目立ちませんでしたが、中央銀行の施策にも疑問符が付くと思います。いまだに1970年代の狂乱物価がトラウマなのか、あるいは更にさかのぼって終戦直後の超インフレにおびえているのかわかりませんが、物価上昇には過剰反応し、不況には反応しないというのでは困ります。ようやく前政権が退場し、変わって登場した新政権からお灸をすえられて少しは円高是正に動き出すようなので、これからは輸出も伸び、市場も反応して株価が上がり、人々が未来に希望を持つようになれば、それが経済の好循環を生み出すものと思います。今度は何とかなるのではないかと期待しています。


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