第41号「高齢化社会ですよ」(2013年1月12日配信)

 これまでも何度か日本企業の売れ行き不振について私なりに考えるところを述べてまいりましたが、懲りずにしかし今回はもう少し率直に思うところを述べさせていただきたいと思います。

 メーカーの新商品開発姿勢について理解しがたいものを感じます。例えばワープロソフトにしても表計算ソフトにしても、従来の機能に何の不都合もないにも拘わらず大幅に変更され、会社や役所のソフト購入決定権者がなぜかそういった新しいソフトに飛びつくので、結局導入が進んでしまいます。導入されてしまえば、組織の一員としてはそれを使わざるを得ません。旧ソフトなら5分で簡単に出来た資料が、新ソフトでは1時間かかっても出来なかったりします。
 アプリケーションソフトだけでなく基本ソフトもバージョンアップと称してはしょっちゅう大幅に変更され、結局は買い換えざるを得なくなります。なぜなら旧基本ソフトに対応するウイルス対策ソフトの更新が打ち切られてしまうので、インターネットが出来なくなるからです。

 パソコンソフトの余りにも頻繁すぎる仕様変更について最近次のように考えております。対応するウイルスソフトの更新が打ち切られて、新基本ソフトに変更せざるを得なくなった場合は、ソフト会社に対し無償で交換に応ずることを法律で強制する仕組みが必要だと思います。なんら便利になるわけでもない単なる変更、開発者の自己満足に過ぎない無意味な変更は進歩などとは無縁です。
 こうした変更は、ソフト使用者の貴重な時間を奪うものです。 いずれメーカーに対して何らかの賠償請求が提起される、そういう時代がすぐそこまで来ていると考えております。

 かつて栄華を極めた名だたるメーカーが余り有益とは思えない商品を開発しているようで残念です。スマートフォンを連動させて希望の音楽が流れる便器(⇒そんな所で高尚な音楽を聴こうと云うのか?)、 温水の発射器の位置をミリ単位で移動できるウォッシュレット便器(⇒お尻をちょっと動かせば済むことじゃないか?)、空気清浄機つきコピー機(⇒1億円のダイヤモンド付きコピー機のほうが話題になるぞ!)等枚挙に暇がありません。

 私が子供の頃、とある会社がウン千万円のパンティを売り出し、これにマスコミがとびついてさも重大ニュースのように報じていたことがありました。そのパンティがなぜ高いのかというと、ダイヤモンドがちりばめてあったという余りにもオソマツなものでした。
 確かにダイヤをつければ1億円のスリッパでもゴミ箱でもエリマキでも何でも作れますが、そこに何の値打ちがあると言うのでしょうか。発想が貧困だと思います。長いノリ巻きやケーキを作って、世界一だのギネスブックに載っただのと騒いでいる人達がいて、またそれをテレビ局がニュースとして取り上げて報道しています。なんと斬新さに欠ける発想でしょうか。300メートルの海苔巻きを310メートルに伸ばすことがそんなに凄いことでしょうか。

 多くの人は、スマートフォンを使って出先から自宅の風呂を沸かしたいなどとは思わないでしょう。また、周囲の状況を自動的に認識して進路を決め、自動的にスピードを調整し、時速100kmを越えれば警告音を発し、障害物を感知したら自動的に止まるようなクルマに乗って楽しいでしょうか。少なくとも自分で運転する喜びはないと思います。体の不自由な人には喜ばれるかもしれませんが、センサー等が故障したらどうなるのでしょうか。高速道での「追い越し・追い抜きはすばやく」が鉄則ですから時速100kmを超えることもあります。そんな時の警告音は精神の安定・集中を害し、安全運転にとって邪魔なだけです。

メーカーに望みます。消費者が欲しいと思うものを作ってください。若者向けもいいがもっと年配者向けのもの、リモコンなら日本語表記で文字の大きいものをつくって下さい。ボタンの数も多すぎます。もっと外へ出て、汗をかいて消費者の声を聞いて回ったらどうですか。国内市場で海外メーカーに負けないように。


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