第2号「地デジのウソツキ」(2012年4月6日配信)

全国的に3月31日は大荒れの天気で、埼玉の上尾でも台風と錯覚するほどの強烈な風が吹き、家が軋(きし)んで「ウチの建物大丈夫だろうか」と心配にりました。テレビの昼のニュースでは、都心部でも20メートルを超す強風が吹いている旨を伝えていました。

夕方、テレビを見ようとしてスイッチを入れたら画面にいつもと違って「アンテナ接続か受信環境に不具合があるためご覧になれません。ケーブルをつなぎ直すかアンテナ再調整などをしてください。青ボタンでアンテナレベルをご確認ください。」などという表示が現れたのです。

そこでリモコンの青ボタンを押してみると、「地上デジタルアンテナレベル:00 最大レベル:00」という表示に変わったのです。てっきり強風でアンテナが倒れたに違いないと思い、2階へあがってみましたがブースターの緑のランプはいつものように点灯していました。

表へ出てみたら、魚の骨のようなアンテナの先端部分にビニールかポリ袋の切れ端のようなものがひっかかって強風にはためいていました。従来のアナログテレビなら、アンテナにナイロン袋が引っかかったくらいで映らなくなることはありませんでした。何という軟弱な、そしてか弱いナテレビでしょうか。

テレビを地デジに変えたのは平成22年3月ですから、ちょうど2年で予想もしなかった災難に遭遇したことになります。2年も経てばアンテナ工事をしてくれた業者に無料で頼むわけにもいきません。そもそもアンテナ自体はしっかり立っていますし、強風で飛ばされたゴミが引っかかったのですから電気工事店には何の責任もありません。危険ですから自分で取り除くことも出来ません。どう考えても有料で業者に依頼せざるを得ないのです。

それにしてもこのビニール袋を捨てた馬鹿者には腹がたちます。さらにはバカ風にも腹がたちます。なぜ、よりによって重症金欠のわが家のアンテナに引っかかるように吹いたのでしょうか。宝くじはちっとも引っかからないのに。近所にいくらも金持の家があるのに。そして地デジを推進した人々が、地デジの長所ばかりを宣伝し、短所・欠点を言わなかったことを思い出し腹が立ちました。

少し前まで、地デジへの切り替えを進めるキャンペーンが繰り広げられました。パンフレット等は一応見たつもりですが、先端にゴミ袋がひっかかっただけで視聴不能になるなんて書いてありませんでした。初耳です。上尾は電波が弱い処なので、アンテナの他にブースターが必要ということ、およびブースターが安くはないことは事前に聞いていました。しかし、そのブースターの性能が経年劣化して5年位で買い替えなければならない、ということは当時はまったく聞かされておりませんでした。これは数日前に知りました。

というのも、実を言うと今回の「アンテナ&ゴミ袋事件」の数日前に、ケーブルテレビの資料でブースターの経年劣化を知り、買い替え費用や毎月の料金等を検討してケーブルテレビへの乗換え契約をしていたのです。アンテナがどうなろうが4,5日我慢すればテレビはケーブル経由で見られるようになるので、実質たいした影響はないのです。不幸中の幸いでした。腹を立ててばかりいないで、こうした小さな僥倖(ぎょうこう)へも目を向けて明るく生きようと思いました。

以上は4月1日に書いた文章です。その後状況に変化がありました。4月3日に3月31日を上回る強風が吹き荒れ、例のナイロン袋がどこかへ吹き飛ばされてしまったのです。ほどなくケーブルTVに変更となるので僅か数日間のことですが、テレビが再び映るようになったのです。やはり、希望を捨てないで頑張ることが大事だなと意欲が湧いてきました。


前号 最新号 バックナンバー一覧 次号