第70回「無駄な行列」(2012年1月27日)

 年をとったせいか、最近細かいことで気になることが多くなりました。私だけでなく多くの人に影響があったと思いますので、改善を期待して敢えて言わせてもらいます。

 今年の1月22日に息子がある検定試験を受験(正しくは「受検」かも知れません)しました。息子の体調に不安があったので一緒に会場まで行ったのですが、会場を提供してくれた大学側の検定運営を何とかしてほしいと思いました。
 集合時刻は午後1時でしたが30分前の12時半に大学に入りました。係官が、受験票の写真、本人の顔、身分証明書の3点を照合して証印を押してから受験会場へ入るのですが、処理が滞留してるようで会場の入り口前は20人位の行列でした。大した行列ではないと考えて、まず昼食をとることにしました。大学内の食堂は営業はしていませんでしたが開放されていたので、そこで持参したサンドイッチを食べました。

 昼食が済んで12時45分に息子が受付に並ぼうとした時には200人位の行列になっていました。先頭部分を見ると遅々として進みません。受験生はどんどんやってきます。行列が道路に伸びてしまうのでガードマンが適当なところで行列を切って数本の行列にしたので敷地内に収まりましたが、本人確認で手間取っていることは間違いありませんでした。

 誰でもできる作業なのだから単に人手を増やせば済むハナシです。臨機応変に人手をやりくりするよう責任者にアドバイスしてやろうと思いましたがやめました。そもそも部外者が検定会場の責任者に会えるとは思えないし、仮に会えたとしても、こういう事態から相当なコチコチ人間と推測され、上司でもない部外者の忠告を聞くわけがありません。結局息子が建物の中に入れたのは並んでから20分後でした。非常に寒い中、体調の良くない息子が倒れるのではないかと気が気ではありませんでした。

 息子は倒れることもなく検定は一応終了しましたが、後から聞いてみると、かなりの要領の悪さを感じました。渋滞の原因は案の定、本人確認作業の遅れでした。他の部署には人員がたくさん配置されて余裕ありそうにしていたのに本人確認担当者は2名しかおらず、しかも一つの証印用ハンコを二人で共用していたということでした。

 おまけに記載不備者がいた時の対応が拙劣でした。その人を列から外して別のテーブルで記載させて本人確認作業をどんどん進めればいいのに、次の人を待たせたままその場で記載させたので、記載不備者が書き終るまで本人確認作業はストップしていたのです。渋滞すべくして渋滞していたということです。勿論本人確認担当者は、行列の長さを知り得なかったわけですがそれにしてもマズイやり方と言わざるを得ません。責任者は、受験生を無駄に待たせているという認識すらなかったかも知れません。
 試験中にもリスニングでは不手際がありました。CDに録音されていたガイダンス部分を試験開始前に流したのはいいのですが、本番のリスニング時にもそれを再度流してしまい、巻き戻しだの戻し過ぎただのとひと騒動あったということです。

 事前の準備もお粗末なものだったと思います。というのは、受験会場の机に受験番号が無く、各自が好きに着席するようになっていたからです。当然、検定終了後の解答用紙回収の段階で、混乱が生じます。試験官らは回収した解答用紙を受験番号順に並べ替え始めました。確認が終了するまで受験生は待ということです。試験官の中に頭の回る人(Aさんとします)がいて「まず、枚数だけ数えて確認したらどうか」という提案をし、全員分回収できていたので受験生は解放されたということでした。

 しかしながらこれは運が良かったにすぎません。Aさんの提案で問題が解決したわけではないのです。なぜだかお分かりでしょうか? それは、トータルの枚数を数えてみて受験生全員分が回収されていたからよかったものの、1枚でも足りなかったら結局全答案を番号順に並べ替えざるを得ないからです。そうしないと何番が抜けているのかわからず、未提出者を特定することは出来ないのです。関係者はこのことをよくよく理解して、次回からは机に受験番号を貼付し、該当番号の席に着席させ、番号順に答案を回収できるようにすべきです。

 結果としては、開始予定時刻までに本人確認が終了しなかったわけでもなく、検定も無事終了しています。その他の不手際も大したことではないというかも知れません。しかし、状況次第では病人が出たかもしれないし、終了・解散時刻が大幅に遅れたかも知れません。そうなれば、次に予定を抱えている人には支障がでるでしょう。

 検定協会は、こういう会場もあるということを認識し、しっかり対策を立てて関係者への周知徹底を図ってほしいと思います。検定のつい一週間ほど前に大学入試センター試験でも不手際があったばかりなのに、緊張感のないハナシなので、気が進みませんでしたが言わせてもらいました。


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