第56話 こんなの初めて!

 今回は本題に入る前に、以前問題提起していたことが見事に解決したのでお知らせします。
それは第37回の「不思議な日本語」で、ナットクのいかない専門用語として取り上げた「遺留分減殺(げんさい)請求権」です。簡単におさらいしますと、この言葉が意味するところは「私の遺留分が侵害されたから、この侵害を取り消して下さい、と請求する権利」という程度の意味です。
 
 私は、この専門用語を素直に読めば
   遺留分減殺請求権
  =遺留分(を)減殺(して下さいと)請求(する)権利
と理解せざるをえないので、内容と矛盾していると考えました。たまたま当ホームページをご覧下さった弁護士先生が教えて下さったのですが、
   遺留分減殺請求権
  =遺留分(を根拠に、相手の不当利得を)減殺(せよと)請求(する)権利
と理解するのが正しい、ということでした。

 確かにそう考えれば言葉と内容が一致しますし、「…贈与の減殺を請求する…」(民法1031条)等の文言もスンナリ理解できます。すでにご存じの方には何の役にも立たない話ですが、一応お知らせいたします。 この「ナットク!会計」で提起した問題に解答が寄せられ、記念すべき良き日となったわけですが、「こんなの初めて!」です

 では、今回の本題に入りますが、記念すべき良き日にふさわしいとっておきの話題です。
数年前、自宅前の市道が舗装されるにあたり、近くの文化センターで市役所主催の説明会が開かれました。その席では、集まった住民から「クルマが猛スピードで走り抜けるからスクールゾーンを設けてほしい」「信号を設置してほしい」「泥棒がよじ登って侵入する可能性があるから庭に面した電柱を移動して欲しい」等様々な要求が出されました。

ちなみに、私はここに住んで15年ほどになりますが、近辺を猛スピードで走る抜けるクルマを目撃したことはありません。また電柱については、足を載せる鉄製のボルトを必要な時だけ電柱の穴にハメているようで、普段は外してありますから、相当高い所まででっぱりの無いすべすべの一本柱です。電柱を両手・両足で抱え込んで登ることは出来たとしても、そこからベランダに飛び移る、ブロック塀に乗り移る等は相当に難しいのではないかと思います。最近では、このタイプの電柱から侵入するケースは少ないのではないでしょうか。

このように近頃では住民はいろいろ要求するようになっています。しかし、要求に見合う義務も果たしているかと云えばそうとも思えません。この舗装に関しては、最後までセットバックに応じない家があって、そこの道路は、その家がある側のみ数年たった今でも舗装されないままです。道路の中央線を境目として、片側は劣化が激しくひび割れだらけで、反対側のみがきれいに舗装されている状態です。市役所も賢いことをやるものだとしみじみ感じます。このおもしろい道路を初めて見た時「こんなの初めて!」と口走りました。


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