第50話 証憑の保存期間

現在、四十肩と腰痛で通院していることは前回述べました。薬の処方箋をもらって薬局に出したら1週間分の飲み薬と冷湿布薬を渡され、その時は別に何の疑問も持たずに受け取りました。

帰宅して湿布薬の袋を破って初めて疑問にぶち当たりました。この湿布薬はどこに貼るのだろうか。診察を受けたのは肩と腰と二つあるのですがどちらに貼るのか先生からは何も聞いていません。その日は飲み薬だけ飲んで、湿布薬はよく考えてから使用することにして貼るのを控えていました。

注射1本で腰痛が消えたわけではなく時々腰が痛くなるので、2、3日後には腰に貼ってみました。かなり強力な冷湿布薬でした。肩をかばって、手首だけで重い物を支えたりしたせいか、腕の筋肉痛が出たので腕にも貼りました。湿布薬を貼って悪化することはないだろうと肩にも貼り始めました。

まずいことに2週目の診察時にどこに貼る湿布薬なのか先生に確認するのをウッカリ忘れてしまいました。仕方がないのでこれまでどおり腰、腕、肩に貼って過ごしました。しかし診察時に肩に照射しているマイクロ波は、肩を内部から温めるものと聞き、冷湿布は良くないかも知れないという不安が湧いてきました。

かといって、いまさら「あの湿布薬はどこに貼る薬ですか」と質問するわけにはいきません。なにしろもう2週間もたっているのですから。「2週間も訳が分からないままだったの?今までどこに貼ってたの?」と思われるに決まっています。「あちこちに貼ってました」と答えるわけにもいきません。

先生に確認できないとなれば、ここはひとつ会計で培(つちか)った合理的思考により何とかするしかないと覚悟を決めました。肩は、週1回の診察時にマイクロ波で温めているということですから冷湿布を貼るという選択肢はないはずです。きっと腰への貼付用だろうと推測しました。

しかし毎週、7枚入り×5袋=35枚ずつ渡されますから、これを使い切るには毎日5枚ずつ消費しなければいけません。1度貼れば半日はもちますから1週間14枚で十分のはずです。35枚では多すぎます。

さらに考えました。一度に2枚ずつ、1日2回貼れば1日4枚消費できます。1週間で28枚になります。それでも7枚余ってしまいます。現実には腕の筋肉痛が続いているから、余った7枚は腕に貼ればちょうど良く使い切ることになります。が、先生は腕の筋肉痛を知らない筈です。先生は湿布薬についてなぜ「35枚/週」という処方箋を書いたのでしょうか。

ここで重要なことに気が付きました。自営になって証憑(しょうひょう)類はきちんと保存するようにしていました。推測も重要ですが、証憑に何か書いてないかと「領収書バコ」を捜したら、いつもなら読まずに捨てていた保険調剤明細書というのが領収書にまぎれて出てきました。そこには細かい文字でハッキリと「腰貼付用」と記載されていたのです。嬉しかったです。

「証憑類はきちんとみて下さい」「税務調査が終わるまでは捨てずに保存してください」等々これまで偉そうに人に説教垂れていましたが、その内容は間違いではなかったことを改めて認識した次第です。参考までに証憑類の保存期間は、税法に従えば大まかに言って5~7年(これより短いのもあります)です。


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