第24回「実効税率」(2011年2月25日)

今回は、税務や会計の本によく登場し、しかも実際によく使う「実効税率」についてです。興味のない方には申し訳ありませんが、関係ある方には非常に有益な内容であると思いますのでぜひお読みください。


上の式は、経理関係の仕事をしている方、あるいは税務関係の本を読んだことのある方なら何度となくお目にかかっていると思います。

実効税率などというものは、単に暗記して公式のように使うだけでいい、という考えもあると思います。しかし、経理部に所属し、たとえ一人でも部下をもつようになれば、そうもいかないと思います。実効税率の算定方法に限らず、少なくとも経理関係の専門用語に関して部下に質問されたら明確に答えたい、と思うはずです。また、与えられた式を理屈ぬきに覚えて使うだけというのでは少し寂しい話です。どういう理屈でこの式が導かれるのか知りたいと思う人が多いのではないでしょうか。

昔、この式の導出法を知りたくて書物を探しましたが見当たらず、自分で導き出した記憶があるのですが、最近再びやってみたらできませんでした。ネットで調べたのですが、式そのものが出発点になっていて、式の導出まで遡っているものは見つかりませんでした。同様の疑問を持った方の質問とそれに対する答えのやり取りを記載したページがありましたが、少し分かりにくいように感じました。仕方なく何日か考えてついに思い出したのです。多くの経理担当者には分かりきった当たり前のことかも知れませんが、我ながら本当にわかりやすいと思うので公開いたします。

実効税率を算出する狙いは、「所得」と「税(=法人税+住民税+事業税)」との比率をみるということですから、ここで使用する「所得」は税金を控除する○前の金額でなければなりません(ここがポイントです。これを以下、「真の所得」といいます)。

ところが、会社の損益計算書(P/L)に登場する税引○前当期純利益は、事業税に関しては、税引○前ではなく税引○後なのです。なぜなら、税法も会計慣行も、事業税を販管費処理(損金経理)することを認めており、普通の会社はそれを受け入れているからです

そこで事業税控除後の所得を控除前に戻さなければなりませんから、P/Lの税引○前当期純利益をYとすると、実効税率を算出するときの所得(=真の所得)は、
真の所得=Y+事業税 
となります。したがって
     実効税率 (式の挿入は少しお待ち下さい)  
となるわけです。


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