第89号「規制は本当に良くないか」(2018年12月16日配信) 

 よく民間の創意工夫に任せておけばうまくいく、政府が口出しをしてうまくいったタメシはない、などと言う。本当にそうだろうか。行政が介入してでも何とかしてほしいと思うことが少なくない。今回はそのうちの三つについて述べてみたい。

一つ目は、新幹線のブレーキ音だ。特に北陸新幹線のブレーキ音はすさまじい。電車がホームに入るときの音はガラスをギーッと擦った時の音を百倍、千倍にしたような感じだ。耳に突き刺さるようなこの音は耐えられない。
日本の新幹線は車内が静かだの、揺れが少ないだの、さすが世界のトップクラスの技術だのとよく言えたものだ。

二つ目として、さらに加えて耐えがたいのが駅の発車ベルの音だ。かつては駅の発車ベルと言うのはジリジリジリというような音で、特に大音量でなければどうという事のない、むしろ親しみの持てる音だった。
しかし今の発車ベルはベルというような生易しい音ではない。ピーッというけたたましくも鋭い音でブレーキ音に劣らない。耳に突き刺さる感じで耳の奥が本当に痛くなる。大宮駅のホームだけなのかもしれないが、とても耐えられない。

はじめは指で耳をおさえていたが、手がふさがっていることもある。やむなく防音用の耳栓を購入して使用している。
それにしても私以外の乗客はこの音が気にならないように見えるのが不思議でならない。本当に私以外の人はこの音が平気なのだろうか。

耳の奥にある、音を感ずる細胞は再生されないと聞いたことがある。車内や往来で、イヤホンから外へ漏れるような音量で音楽を聴いている若者は昔からよく見かける光景だった。こうした生活を続けてきたために、多くの人たちは耳の細胞が破壊されて音を感じにくくなっているのではないか、と言う気さえしてくる。私の耳が異常に敏感という事ではないだろう。

東海道新幹線は現在ほとんど利用しないので分からないが、少なくとも北陸新幹線のブレーキにはどこかに技術的な問題があるのではないかと思う。
JR東日本に対しては、適切な市場調査に基づいて、高崎線および宇都宮線の列車の本数を決定しているのか等、他にも大きな不信がある。行政が介入・指導せずに会社任せにしていたのではこのブレーキ音は永久に改善されないだろう。

三つ目はクルマのヘッドライトだ。従来、若干暖色系のやわらかな光だったが、最近青白い光を発する車が増えてきた。
家電量販店のLED照明器具の売場では、デモ用に照明器具が実際に点灯された状態で展示されている。この光が非常にギラついて目に突き刺さるように感じるのだ。目を覆うか顔を背けて通り過ぎるようにしているが、この嫌な光がクルマのヘッドライトに採用されだしたようなのだ。

私が中高年になったためまぶしく感じるだけで、若い人は平気なのかも知れないと考えた。しかし、それなら高齢化社会と言われる昨今、私のように感じる中高年は多いはずだ。従来のような柔らかい光に戻してほしい。
しかし、欠陥エアバッグやデータねつ造、検査の不正等で分かるように、効率一辺倒、儲け至上主義が幅を利かす自動車メーカーが、多大なコストをかけて自発的にライトを交換するとは思えない。
しかも新幹線のブレーキ音と違い、照明に関しては行政もLED照明へシフトさせようとしているから、行政指導も期待できない。どうしたらいいのだ。