第79号「皆同じ」(2014年4月5日配信)

  息子が何かの発表会に出かけた。3泊4日の大がかりなものだ。発表に先立つ半年前にセミナーがあり、そこで全国から集った同年代の参加者がいくつかのグループに分かれて受講したり討論したりしたようだ。その後も各グループごとにテーマを決め、ネットを通じて意見交換し、半年かけて練り上げて今回の発表となったのである。当然交友関係もできており、同グループの女生徒ともいろいろ打合せなどをしていた。
ところで発表時は学生服だが、それ以外の時は普段着だ。普段着なんか1着あればいいと思っていたら、息子は毎日着替えるから着替えが3着必要だと言い出した。「だらしないのは今通ってる高校だけだ。全国から集るんだから、着替えナシの着たきりスズメなんてやらかしたら大変なことになる」「大変なこととは何だ?」と聞いても答えられない。どうせ女生徒にいいとこ見せたい一心なんだろう、と思って3日分の着替えを持たせてやった。
ジャンバーも暑いとき用と寒いとき用の二つ、パンツ・靴下・肌着もバスタオルも万一に備えて3日分プラス1日分で4日分、お菓子も3日分、携帯充電器も忘れちゃ大変、挙句の果ては使うはずのない空き時間勉強用の参考書まで詰め込んでキャスター付きケースが二つになった。リュックのほうが安心ということでリュックに詰め替えた。それでもリュックが2つでは、非力でかつ超鈍い息子がホームでよろけて階段でコケて転がり落ちたら大変だ。已む無く私が最寄り駅まで同行するという騒ぎとなった。
無事4日が過ぎて持ち帰った荷物を開けて見たら思ったとおりだった。あれほど固執した着替えが未使用だったのだ。参加者の多くは男だから着替えなどしなかったのだろう。息子は周りに引きずられる性格だから皆に合わせたに違いない。そもそも男が毎日衣服を着替えるなんて薄気味悪い。
衣服の着たきりすずめは良いとして、3日分用意した靴下もパンツも持たせてやった時のままの状態だったのは驚いた。風呂にも入らなかったということだ。周囲の連中と同じに行動したのだろう。

ところで消費税が5%から8%に引き上げられたが、引き上げ当日の大分前から各局ともいろんな店にレポーターが出向いて買物客に質問していた。客も「高額品だと結構影響も大きいから」というような答えで、駆け込み需要は当初は高額な商品だった。が、次第に安価なかさばる商品にまで及んできて、客の答えも「少しでも家計の足しに」などと云うようになってきた。これだけ売れれば店側も値引きはしないだろうから時間を掛けるだけのメリットがあるとは思えなかった。買った商品を宅急便で送ってもらうので流通事情が大いに悪化してしまった。
この消費税騒ぎでは、ウチでも通信販売している「おもしろ会計」が通常の翌日配送がとても無理ということで、速達便で発送せざるを得ず大いに影響を受けたのである。私の周囲には「駆け込み需要の反動で4月は売れ行きが落ちるから、値引き等が期待できる4月に買おう」と考える人が多かった。しかしこういう考えの人達はなぜかTVにほとんど登場してこないのだ。マスコミでは特定の人が強調され、それに沿うように多くの人が同じ行動をとる。昔からあまり変わらない。
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