第75号「靴とティッシュとワイシャツ」(2013年12月10日配信)

  世の中にはそのやり方が有益とは思えないにも拘わらず、いつの間にか定着してしまって殆どの人が従っている変な習慣・しきたりが沢山ある。

例えば、玄関で靴を脱ぐ時はつま先を外にむけるのが常識とされている。かかとを外に向けたままに脱いでおくといつの間にか家内が直してくれる。ところがつま先が外を向いていると靴を履くとき非常に履きにくくて不便なのである。かかとが外を向いていれば、自分の体を後ろ向きにしてスムースに履くことが出来るのに………。いくら言っても家内は「これが正しい作法だ」と譲らないのである。
 
確かにエチケット集などをみると、靴はつま先を外に向けて脱ぐのが作法にかなっているようだ。しかし作法などと云うものの中には、多くの人が単に前例踏襲を繰り返しているうち定着してしまい、根拠も合理的理由もないと云うのが多いのではないだろうか。そして今更変更できなくなってしまっているのではないだろうか。つま先を外に向ける必要があるのだろうか。

また、携帯用ティッシュペーパーについても大いなる不満がある。自分で買うことはなく、すべてもらい物であるが、タダでも不便なものは不便である。何がそんなに不便かと云うと、取り出したティッシュではそのまま鼻をかむことができないのだ。へんなたたみ方のためティッシュは中心線部分が実は重なっていないのである。薄いティッシュ1枚だけだからこのまま鼻をかんだら、その部分が確実に破れて鼻汁が漏れることは間違いない。一度広げて普通にたたみ直さなければ、使い物にならないのだ。なぜこんなたたみ方にする必要があるのだろうか。単純に2つに折ってまた2つに計2回折る方法、要するに広げたときに真ん中に十文字の折り目が付く折り方に出来ないのだろうか。むしろその方が単純で容易だと思うのだが。

さらに、ワイシャツのボタンについても同様に大きな不満がある。クリーニングから戻ってきたワイシャツは一番上と三番目のボタンが掛けてある。購入したワイシャツはご丁寧に全部のボタンが掛けられている。着るときには必ず外さなければならないのに………。安いクリーニング屋の場合、糊が異常に硬くてボタンを外すのが一苦労だったりする。朝の出がけの忙しいときにはイライラしてしまう。どうしてこんな不要なことや無駄なことを延々と続けるのだろうか。毎日毎日、前夜にワイシャツのボタンを外してハンガーに掛けて準備するような人はいないだろう。

最後に、小さいことだがステレオタイプのイヤホーンには必ずR(右)、L(左)と小さい字で記載してあるが、これって守らないといけないのだろうか。左右逆の耳に差し込んだらマズイ事になるのだろうか。試してみたが、違いは分からなかった。私の音感が鈍いだけかも分からないが、たいした違いがないのであれば、こんな記載はやめたらどうだろう。小さなイヤホーンに小さな文字でRだのLだの書き込むにはそれだけコストもかかっているはずだ。

以上いくつか挙げた不満に対して夏のクールビズは大ホームランだ。これが定着して本当に嬉しい。しかも実施期間が8月だけで無く9月まで最近では10月でもノーネクタイでも許されるのは嬉しい限りだ。蒸し暑い夏の日本でネクタイは全く必要のないモノだった。暑いときに大汗かきながら律儀にネクタイを締めている人がいたものだが、こちらまで暑くなるからそんな人と会うのは嫌だった。このようにネクタイにこだわる人がいるなか、よくぞクールビズを普及させられたものだ。

我々はやればできるのだ。テイッシュは複雑な機械で折りたたんでいると思われるが、そろそろ単純なティッシュ折りたたみ機へ入れ替えて欲しい。クリーニング業界も不要な工程は省いて欲しいものだ。経営者の一言で決まることではないだろうか。


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