第56号「あちこち芽が出た柿の枝」(2013年4月26日配信)

 前回、前々回の2回にわたって柿の木の新芽の話でした。今回はしつこいようですが新芽の第3弾です。
 我が家の柿の木はゴツゴツした枝から直接に柿の葉が派手に噴き出してきたので、今では太い枝に沢山のレタスを隙間なく並べて載せたような感じです。大きいレタスやら小さいレタスやら大変にぎやかです。

 ところで我が家には高さ90センチくらいの山椒(さんしょ)の木があります。昨年クライアントから頂いたものです。私は山椒が好きで冷奴や魚料理でよく使うので、10年以上前に例の柿の木の隣に植えたことがあるのですが、柿の葉の陰になって日当たりが悪かったせいか枯れてしまいました。それ以後ずっと山椒無しの食事で我慢しておりました。
 ある時、新しいクライアントの本社の庭に数本の山椒の木を見つけ、分けてもらえないかと思っておりました。ご機嫌のときをねらってこれを褒めたら、快く「おー、やるよやるよ、持ってきなよ」と社長自ら一株を掘り起こして持たせてくれたのです。

 今度は日当たりのよい場所に植えました。社長が掘りだしてくれたのが昼ごろで、仕事が終わって帰宅したのが5時ですから大分時間が経っており、少々不安でした。うまく根付いたのか、失敗だったのか分からないままに数週間たち、葉が徐々に黄色に変色してきました。秋になったせいかとも思いましたが、そのうち黄色から茶色になりすっかり落葉してしまいました。
 黄色になってきた時点でネットで調べたりしましたが、山椒の植え替えは難しくて失敗するケースが多い、と云うことが分かりました。我が家の場合、葉が茶色になってチョリチョリに枯れて落ちてしまいましたから完全に失敗だったと悟り、あきらめたのです。

 年が明け、春になり、柿の木にばかり気をとられていたのですが、とりあえずそれが復活して一安心したところで気がつきました。すっかりあきらめて、見向きもしなかった山椒の木にいつのまにかカワイイ新芽がビッシリついていたのです。花らしきものも咲いており小さな山椒の葉はいかにも美味しそうです。小さな棘(とげ)もできていて、何もかも新しく若々しくこれからドンドン成長しそうなのです。
 丸坊主になった山椒の木を引っこ抜かなかくて正解でした。山椒の木は「野ボタン」の隣に植えたのですが、この「野ボタン」は地上の茎がすっかり枯れても翌年また立派な花を咲かせます。毎年そうです。ですから山椒の木に対しても、地上部分が枯れても根っこは生きているかも知れないという期待が無意識のうちにあったのかも知れません。

 現在、私の周囲では、一時は駄目かと思ったいろいろな芽が復活してきました。これは何かの前兆に違いありません。木々のこの生命力を取り込まなければなりません。木々のこの勢いを吸収して、仕事でも芽が出て大いに花開くよう頑張らなければ、と決意をあらたにした次第です。神様および読者の皆様、どうかよろしくお願いいたします。


前号 最新号 バックナンバー一覧 次号