第47号「さすが母親」(2013年2月23日配信)

 ミニVDテープタイプのビデオカメラがおかしくなりネットで調べたら製造中止でごく一部の機種のみが海外で生産されているということが判明しました。しかし、この忙しい時期にやったこともない輸入などやっている暇はありませんからどうしようか迷っておりました。

 ところが先日、息子が「パパ、ビデオカメラ大丈夫だよ。動くよ。」というのです。てっきり壊れて使えないと思っていたビデオカメラが、試してみたらちゃんと作動したのです。そこで今のうちにDVDへ焼き付けてしまおうと毎日少しずつコピーし始めました。いつ壊れるか分からないので酷使は出来ません。コピーは一日1本か多くて2本に留めており、やっと幼児期の分を終えた程度です。残り70本程度を全部負えるのは大分先になりそうです。

 コピーの過程で一部映像を眺めたりしますが、当時を思い出す映像が出てきました。都心のU動物園内にモノレールがあり、小さい息子がせがむので已む無く何回か乗りました。当時も料金が高いと思ったのですが、映像を見るとやはり本当に高い!ほんの200メートル程で料金は確か百円です。東京駅のホームのほうがはるかに長い。山手線を1周した方がずっと楽しく刺激も多い。こんなオマケのようなおもちゃモノレールは入園者に無料開放すべきだ、と憤慨したのを思い出しました。

と思っていたら今度は東京西部のO鉄道公園の映像が出てきました。電車好きの息子を連れてあちこちの鉄道博物館のような所へ行きましたがここはU動物園のモノレールをさらに小さくしたものでした。小さいプラモデルのような電車にまたがって乗り、20メートルも直進したかと思ったら止まってしまったのです。「あれ、止まったぞ、どうしたんだろう?」と思っていたら今度はまっすぐバックしてオシマイでした。カーブすらありません。これも料金は100円位だったと思います。本当に小さな子で泣ければ喜ばない電車でした。

 こんな映像ばかりではなく、驚くべき事実も発見できました。映像をコピーしている時、家内が覗き込んだりするのですが、息子の歯が生えた時の映像では「そうそう、これこれ、この時は雪が降ってたのよ。寒かったけど嬉しかったの覚えてる」とか、息子が初めて歩いた時の映像では「あ、ここヨドバシカメラの前よ。ここで初めて外で歩いたの、5月ころだった」などというのです。そして、ラベルの日付とか映像の内容を見ていくとピタリと合っているのです。

 他にも初めて補助輪ナシで自転車に乗れた日とか、椅子の上で大脱糞をした時とか大きな出来事の殆どを正確に記憶していたのです。私は殆ど記憶があやふやで、こうしたことの日殆どを鮮明に記憶しているというのは大きな驚きでした。ズボラで大雑把で無神経で………と思っていた家内ですが、息子に対して大きな愛情をもって接していたんだなと思い認識を改めました。さすがは母親でスゴイことだと思いました。


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