第42号「意外な収穫」(2013年1月18日配信)

 今年は連日寒い日が続いて何年ぶりかの厳冬と言えると思います。北海道の内陸部ではマイナス30度を超えたなどと何度もニュースで報道され、地球温暖化はどこへ行ったのか?と言いたくなるような毎日です。ただ、冬の寒さが厳しければその年の夏は又厳しい暑さになるとかで、半年後には「何でこんなに暑いんだ!」と云うことになるのかも知れません。

 それは兎も角、とうとう今月14日には埼玉の上尾でも大雪となりました。勿論、日本海側の雪どころと比較したらお話にならないレベルですが、それでもこの地域としては久しぶりの大雪でした。翌15日は運動神経がすっぽり抜け落ちている息子が元気に学校へ行くので、滑って転ばないようにしなければいけません。暗いウチに起きてゴム長靴を引っ張り出して、少し明るくなるのを待って、家の前の道路の雪掻きをしました。

上尾に移り住んでから16、7年になり、何度か雪は降ったはずなのに、今回初めて気が付いた事があります。それは、雪が積もっても自宅前の道路の雪掻きをしない人が多いということです。近所の住宅街で雪掻きをしたのは数軒だけでした。私が驚いたのは、住宅前の道路はある程度は止むを得ないとしても、商店前の道路で雪掻きがされていない箇所がいくつかあったことです。

普段いくら立派なことを言っていても、こういう時に人間性が見える気がします。逆に外見上はとっつきにくい感じなのに、この人意外にやるじゃないの、と云うケースもありました。私の故郷は雪どころでしたが、商売をしている人は例外なく、そして商売をしていない家でも多くの家で雪掻きをしていました。年寄りだけの家の場合は、両隣の家の人がやってあげていたようです。

お客様に対する感謝の気持があれば、誰に言われなくても体が動くはずだと思います。これは商店に限った話しではないと思います。駐車場の経営もお客さん商売ですから、クルマに乗るまであるいは降りてから歩く部分だけでも雪掻きしようと云う気持にならないのでしょうか。近所では、自然に解けるに任せ、最後まで雪掻きをしなかった駐車場経営者がいくつかありました。

勿論、雪掻きだけで人のすべてが判るわけではありません。体調が良くなかったのかもしれませんし、ちょうど所用で留守にしていたのかも知れません。他の理由があったのかもしれません。雪掻きをしたから立派な人で、しないのは例外なくひどい人などと云うつもりはありません。しかしこの程度のことがやれない店が結構あるということは驚きました。

今回の大雪で、近所の人たちの普段見えない面が見え、これはこれで大きな収穫でした。


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