第35号「経営者の責任」(2012年12月1日配信)

 1年以上前のことですが、地元新聞のある記事が必要になり、買おうとして専売所がどこにあるか聞きました。そしたら「ウチは専売所がありません。朝日とか読売といった専売所に申し込んでいただいたらそこで取寄せていただけるようになっています」ということでした。そこで早速定期購読していたA専売所に電話したら「ウチは扱っていません」とアッサリ断られてしまいました。長年のつきあいなのに。やむなく別の専売所に頼んだら快く引き受けてくれ、入手できました。
 その後、私はA専売所との定期購読の更新をしませんでした。そしたらそこの拡張員が何度も勧誘に来ました。私は「○△新聞に代えたから」と断り続けました。すると今度はA専売所の店長がきて近所に聞こえるようなでかい声で「○△新聞とってないみたいだけど、ウチのとってくんねぇかな」とわめくのです。「駅で買うからいらないよ」と断ったのですが、何と逆効果な事をするんだろうと思いました。営業にはネバリも必要でしょう。しかしこれでは反感をかうだけだと思います。
 その後しばらくは平穏でしたが、再びこの元気のいい店長がやってきて「いま何新聞とってんの?どう?そろそろ」などと相変わらずでかい声を出すのです。「今度はビール券もって来てんだよ」と云うところは特にでかい声を出しました。とっても近所迷惑なんですけど。………
 
スーパーでレジが一つしか稼動していなくて、行列が出来ていました。店員が休止中のレジに入って開いたので、行列していた人の一部が新しく開いたレジに並びました。元の列の後ろだった人が新しい列の先頭に来ることになりましたが、これは良く見かける光景です。そして新しくレジを開いた店員が偉そうに新しい列の順番を無視して「はい、あなたから」と元の列で前方に並んでいた人から受け付けたのです。
私は奇異な感じがしました。その店員は見事な大岡裁きをしたつもりなのでしょうが、新しい列に移るか元の列に留まるか、すばやく動くかどうかはすべて客がきめるものです。順番を崩したくないのであればそのように誘導すべきです。それもせずにむっつり黙ったままレジのかぎを開け「順番くらい守れよ」といわんばかりのその態度には他人事ながら腹が立ちました。店員は客より偉いと思ってはいけないと思います。商売の基本中の基本です。
 こんなこともありました。ファーストフード店で並んでいたら、女性が入って来て店員にモノを尋ねようとしたのですが、店員は話も聞かず「順番で受け付けておりますのでお並び下さい」とだけ言いました。道を聞きたかったようなのですが、そのために並ぶ人はいないでしょう。女性は腹が立ったと思います。道を聞こうとしたら社会常識を説教されたようなものですから。
 次は私の体験ですが、早朝同じくファーストフード店でメニューの写真を見て注文しました。「これ下さい」「やってません」「じゃ、これ下さい」「やってません」「じゃ、これは?」「やってません」私も少しムッと来て「一体何が出来るの?」「朝はこれとこれだけです」ということがありました。「早朝扱っているのはこれだけです」と、もっと早い段階で言えないのかと思いました。
 気配りの出来ない人間、自分から考えない人間を使う以上、マニュアルで縛るしかないのでしょうが、経営者たるものは、マニュアルの作成あるいは新人・店長の教育にはよくよく注意し、力を入れるべきだと思います。ここをしくじることは客を失う元凶です。


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