第31号「競争に勝てない」(2012年11月2日配信)

かつては興盛を極めた多くの日本企業が巨額の赤字を出して苦しんでいます。中進国と呼んでいた国にいろんな面で押されっぱなしで将来が心配です。そして何とか盛り返して欲しいと願っていますが、しかしこうした事態になったことは、別に驚くようなことではなく当然のことだと思っています。
というのも、まだ日本の景気も良く、鼻息も荒かった頃から「こんな国が先進国だなんてどこを見てるんだ!」「この国のどこが工業一流なんだ!」と思うことが多々あったからです。

例えば雨の日に道路を歩くときは、向こうからクルマが来るときには水溜りのところで遭遇しないよう歩くスピードを調整したものです。遭遇すれば水しぶきをかけられてしまうからです。車がスピードを落とすか水溜りを避けて走ってくれればいいのですが、そんな運転が出来る人は少数です。傘を道路側にかたげればある程度はしぶきを防げますが、直径が大人の身長ほどもある傘はありませんから、防ぎきれません。また、激しい雨のときは傘を傾けたら降ってくる雨に濡れてしまいます。

要するに工業先進国日本は、雨水がスムーズに側溝に流れ落ちるような道路さえ満足に作れなかったのです。アスファルト舗装ですからワダチが出来ることは止むを得ないのですが、どうみてもワダチとは無関係の凹みがあちこちに見られたのです。舗装の技術が低すぎるのか、工事費用の無理な削減が影響していたのか分かりませんが、いたるところに凹みがあって雨が降ると水溜りが出来るのです。昔の穴ぼこだらけの砂利道となんら変わらない、あまり役に立たない舗装がまかりとおっていたということです。

もう一つ腹の立つ例を挙げるならそれはボールペンです。景品のボールペンで満足に使えるものが少ないのに驚きます。途中でインクが出なくなって結局捨ててしまうのですが、書けないボールペンはティッシュの上でこするといいの、温めるといいのということを雑誌等で見かけますから、不良ボールペンは広く出回っているということでしょう。
景品ではなく、カネを出して購入したのにエライ商品だったこともあります。会計士受験で用心のために新しく2本のボールペンを購入して持参したのですが、この新しいボールペンが2本ともインクが出なかったのには驚きました。他にもう1本使用中のものを持参していたので事なきを得ましたが、このことは今でも覚えています。当然ながらこのメーカーのものはその後一切買っておりません。どんな安売りをしていようが買う気はありません。

ボールペンがインクがあるのに書けなくなって捨てるということが最近特に増えてきたように感じます。日本ではなく海外で製造しているのかも知れませんが、そんなことはいい訳にはならないと思います。ただでもらって文句言うな、という意識なら重大な考え違いです。当然使えると思っていたボールペンが使えずメモが取れなかったら、相当な怒りを感じます。配る側は宣伝効果を期待しても、これではかえって逆効果ということがよめないのでしょうか。

最先端技術では世界トップかも知れませんが、生活に密着した分野の技術は見劣りします。安物不良品や余分な機能をゴテゴテつけた商品ばかりでは競争に勝てないと思います。


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