第18号「ビックリ病院(その2)」(2012年8月3日配信)

日常生活でも、仕事でも公表情報をパソコンでチョイチョイと指標化して評価したりランク付けしたりすることがよくありますが、今回はそんな情報よりも口コミの情報のほうが遥かに重要であることを改めて思い知らされました。
センターのナースコール故障(しかも患者からのチェック要求を拒否しての故障)という信じがたいデタラメ事故により、初期対応が遅れてせっかく消えた右半身麻痺がまた発症し、入院継続となりました。
主として息子を担当していた医師(以下、ボサボサ)はこの頃「原因は分からない」といっていましたが、その上司らしい医師(以下、ツルツル)は「原因は精神的なもので、柔道の打撲は関係ない」という判断でした。チーム内で意見が割れている感じでした。

ボサボサの薦めもあり、ナースコール故障の3~4日後にJ天堂大学病院(以下、J病院)の脳神経内科の診察を受けに行きました。センターの事前準備にいろいろ不手際がありましたが、例外的に脳神経科の医師に診てもらえることとなりました。しかし、順番を待っている間に息子に発作が起きてしまったのです。診察もできず、またセンターから持参した画像データはJ病院の機器では読み込めなかったので、脳神経科の先生も紹介状に目を通しただけで、とおり一遍の解説をするしかありませんでした。
回復を待って救急車でセンターに戻りました。時間とカネをかけて何の収穫もなく、骨折り損のくたびれもうけでした。おまけにこの救急車はセンターの救急車で、退院のときガッチリ搬送費として1万数千円とられました。

点滴と検査とリハビリだけでしたが、手足の麻痺も収まってきたので、初めの予定より2週間遅れの7/16の退院となりました。ツルツルから「精神的なもので9月からの登校拒否が心配だ」とか「病気と気長に付き合っていくしかない」とか「最近この手の病気が激増している」などの説明を受けました。処方された薬は単なる頭痛薬のブルフェンでした。
退院後もセンターのリハビリを受けましたがきちんと歩けるようにはなりません。退院後も発作が起き、やむなくセンターの診察を受けましたが、今度はボサボサも明確に「外傷性」を否定し精神的な病気との主張で、家内に「発作が起きても30分ほっとけば治る。それでも駄目なときは来てください」といったのです。医師が明確に「外傷性」を否定したので保険も下りませんでした。

入院中に推薦を受けた専門医の診察も受けましたが「精神疾患ではない」との結論で、センターの診断に対する不信感が大いに増幅してきました。夏休みも終わり、2学期が始まったのでリハビリ先を学校か自宅の近くに替えたかったことと、体験者による口コミ情報からN病院でもういちどキチンと診てもらうことにしました。その結果、事態は急転直下で解決に向かったのです。
N病院では、CTスキャンやMRIの検査で原因不明ということは、物理的な損傷ではなく外傷による機能的な障害が生じたと考えるべきである、と判断しました。機能的障害発見には脳波検査が有効、ということで睡眠薬使用による精度の高い検査を実施して純粋な脳波をとらえ、外傷性てんかんに繋がる波形を発見したのです。
そして外傷性てんかん用の薬を服用した結果、右手握力の向上等、薬の効果が単なる感触ではなく測定値として現れたのです。さらに柔道での打撲まではてんかんなど起きなかったこと等も考慮して、外傷性てんかんとの診断が下されました。
これらを踏まえて保険についても再審査をお願いしたところ、保険会社でも外傷性てんかんとの診断が自然との判断で、保険が下りました。リハビリもやり直しとなり、変な癖の矯正がほぼ終了したところです。その後発作は起きていませんが、仮に起きたとしてボサボサの云うように30分ほうっておいたら、と思うとぞっとします。


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