第10号「キャンペーン景品あれこれ」(2012年6月9日配信)

おやつのビスケットを全部食べて、空になった袋を何気なく見てみると「60周年ありがとうキャンペーン」というのをやっていました。景品はキッチン家電で、2種類ありました。
ひとつはハンドブレンダというやつで何に使うのか分かりません。写真を見るとどうも泡立て機のように見えますがはっきりしません。欲しくもありません。パソコンで調べようとしたらワープロソフトもこんな言葉は予定していないようで、カタカナと漢字の混在したおかしな変換をしてしまいました。
もうひとつはエスプレッソ・カプチーノメーカーといういやになるぐらい長い名前ですが、明らかにコーヒーメーカーです。こちらは欲しいと思っていた品物なので応募することに決めました。そしてこの景品の写真が掲載されている部分を切り取って貯め始めたのです。
4、5枚たまったところで、家電の取説(トリセツ)は必ず熟読する息子が「これ何?」と関心をもち、応募方法を読み始めました。そして「こんな写真貯めたって駄目だよ。必要なのはバーコードだよ」と言うではありませんか。
私はびっくりしました。確かにこういったキャンペーンで要求されるのはバーコードです。応募方法など読むまでもなく私の勘違いだと思いましたが一応読んでみました。『○○社の商品600円相当のバーコードを一口として専用ハガキまたは官製ハガキに貼り、住所、お名前………ご希望の商品(A・B)を明記の上………』と書いてありました。
ここで私は再びびっくりしたのです。600円分と言いますが、この袋のどこにも価格の記載がないのです。「内容量:190g」と言うのは記載がありました。しかし、注意深い息子にも探してもらいましたが値段はどこにも書いてありませんでした。バーコードを読む機械でもあれば分かるでしょうがそんなものは普通の家庭にはないでしょう。もちろん我が家にもありません。
買った値段は98円ですが、その店は特別に安い店ですから98円は定価ではないと思います。でも定価が120円なのか150円なのか見当もつきません。なぜ、定価を記載しないのか、記載していない定価を前提として応募方法を決めるのとは。私もポカをやったので大きなことは言えませんが、もっとまじめにやれと言いたくなりました。
ご丁寧にお客様相談室の電話番号が載っているので教えてやろうかとも思いましたがやめました。フリーダイヤルはなかなか繋がらなくてイライラするのがおちだからです。時間がもったいないし、バーコードを集め損ねて腹がたっていたと言うのも大きな要因です。
ところで、こうしたキャンペーンの景品やその送料といったコストはどういう会計処理をしているのか気になりました。家電量販店のポイントや航空会社のマイレージ等は無視できない金額になってきており、引当処理する会社が増えてきたときいています。
 確かに製菓会社のキャンペーン経費は、金額も率も量販店のポイントほどの重要性はないと思います。さらに長くとも半年程度の期間限定キャンペーンですから引当処理など必要ないとも考えられます。不明確な応募方法に気付かないくらいですから単に惰性でキャンペーンをしているだけであって、社内でもあまり関心もないのではないかと思います。売上値引きとするか広告宣伝費とするか程度の検討はしたかも知れないが、引当処理など考えてもいないだろうというのが私の結論です。
その後、この会社の有価証券報告書を見てみようと一応探してみました。そしたら結構有名なこの会社は、実は上場していなかったのです。有価証券報告書も作成していないでしょう。最後までやられっぱなしでした。


前号 最新号 バックナンバー一覧 次号